AWS Builder Center

AI-DLC Workflow V2を動かしてみる:Kiro CLIで始めるQuick Start

前回はV1→V2で「何が変わったのか」を見ました。今回は実際に手を動かして、V2をKiro CLIの環境で動かしてみます。シリーズ第2回。

Series: AI-DLC Workflow V2の解説 (31 articles)

  1. 2
    AI-DLC Workflow V2を動かしてみる:Kiro CLIで始めるQuick Start This article
AWS Japan, Developer Specialist SA
AI-DLC Workflow V2.8.0よりインストール方法が変更になりました。
本記事はV2.7.x 以前を対象としています。
V2.8.x以降のインストール方法は以下をご参照ください。

1. はじめに

この記事はAI-DLCシリーズの第2回です。前回の記事  では、AI-DLC Workflow V1(以降V1)からAI-DLC Workflow V2(以降V2)への進化の全体像(2つのループへの分割、コードベースのワークフロー制御、14エージェント体制)を解説しました。
今回のテーマは「実際にV2を動かす」です。セットアップから初回ワークフローの実行まで、手順を追いながら進めていきます。手順の要所では、前回記事で解説した概念が実物としてどう見えるかを補足していきますので、「ああ、あの話はこれのことだったのか」という発見があれば嬉しいです。
この記事ではKiro CLIを使って進めます。V2はKiro IDE、Claude Code、Codex CLI、opencodeにも対応しています。他のハーネスで始めたい方はREADMEのQuick Start を参照してください。

2. 前提条件

V2を動かすために必要なものは3つです。順に見ていきましょう。
この記事の手順はmacOS / Linuxを前提としています。Windowsの場合はbunのインストール方法やPATHの設定が異なりますので、READMEのQuick Start を参照してください。

bun

V2のエンジンはTypeScriptで書かれており、bunで実行します。前回記事で「コードベースのワークフロー制御」と呼んだもの(ステートマシン、監査ログ、ステージ間のルーティング)の実体が、このbunで動くCLIツール群です。
1
curl -fsSL https://bun.sh/install | bash
一点注意があります。bunのインストーラーは ~/.zshrc に書き込みますが、Kiro CLIが使う非対話シェルは ~/.zshenv を読みます。which bun が通常のターミナルで動作するのにKiroから見えない場合は、~/.zshenv にPATHの設定をコピーしてください。

Kiro CLI(バージョン2.6以上)

1
2
kiro-cli --version # 2.6以上を確認
kiro-cli login

Kiroアカウント

AI-DLC on KiroはClaude Opus 4.8で動作します。これには有料のKiroプランが必要です。それ以外のモデルでは、レビュアーパスや承認ゲートが十分に機能しない場合があります。

3. リポジトリの取得

では、AI-DLCのソースを取得していきましょう。v2ブランチに切り替えます。
1
2
3
git clone https://github.com/awslabs/aidlc-workflows.git
cd aidlc-workflows
git checkout v2
この中の dist/kiro/ が、Kiro CLI向けにビルドされたV2の配布物です。

4. プロジェクトへのインストール

次に、自分のプロジェクトにAI-DLCをインストールします。
1
2
3
4
mkdir -p your-project/.kiro your-project/aidlc
cp -R dist/kiro/.kiro/. your-project/.kiro/
cp -R dist/kiro/aidlc/. your-project/aidlc/
cp dist/kiro/AGENTS.md your-project/AGENTS.md
ここでコピーしているのは2つの領域です。
  • .kiro/ — エンジン本体。ツール、スキル、エージェント定義、フックが入っています。前回記事で「各コーディングエージェントへの専用組み込み」と説明した仕組みの実体がこれです。dist/kiro/ はKiro CLI専用にビルドされた形で、Claude Code用の dist/claude/ とは中身の構成が異なりますが、動作するエンジンは同一です。
  • aidlc/ — ワークスペースシェル。ルール(memory/)、チームナレッジ(knowledge/)、ワークフローの記録(intents/)がここに蓄積されていきます。.kiro/ の中ではなく、その隣に置く点に注意してください。

5. セットアップの検証

ここまでで準備は整いました。プロジェクトルートからKiro CLIを起動し、ヘルスチェックを実行してみましょう。
1
2
cd your-project
kiro-cli chat
セッションが開いたら、以下を実行します。
1
/aidlc --doctor
doctorはセットアップの整合性をチェックしてくれます。bunの検出、ステージグラフのコンパイル状態、ワークスペースシェルの存在などが確認項目です。すべてパスすれば、ワークフローを実行する準備が整っています。

6. 初回ワークフローの実行

いよいよワークフローを開始します。
1
/aidlc タスク管理APIを作る
これを実行すると、エンジンが動き始めます。前回記事で「LLMは"次に何をすべきか"を判断しない。ツールに問い合わせて、指示された1つのことを実行する」と説明しました。ここでまさにそれが起きています。エンジンが入力を解析し、スコープを自動推定し、最初のステージへのディレクティブ(指示)を返します。

最初のステージ:Intent Capture

最初に実行されるのはIntent Capture & Framingです。エンジンがProduct Agentのペルソナを指定し、以下のような質問が提示されます。
  • 何を解決しようとしているのか
  • 誰が顧客か
  • 成功の指標は何か
回答方法は3つあります。番号で選択肢を選ぶ、質問ファイルを直接編集する、あるいはチャットで自由に答える。どの方法でも構いません。回答が揃うと、意図の声明(intent statement)とステークホルダーマップが生成されます。

承認ゲート

ステージの成果物が生成されると、承認ゲートが提示されます。
  • Approve(承認)— 次のステージに進む
  • Request Changes(修正依頼)— フィードバックを返して修正させる
これが前回記事で説明したアウターループの実体です。人間が関与するのはこの判断の瞬間だけ。成果物の生成と検証(インナーループ)はエンジンとエージェントが処理しています。

7. ここで何が起きているのか

Quick Startを通して見えたことを、前回記事の概念と対応づけてみましょう。
前回記事の概念実物として見えたもの
コードベースのワークフロー制御bunで動くTypeScriptツール群(.kiro/tools/)。/aidlc の裏でエンジンがディレクティブを発行し、LLMが実行し、結果を報告する
2つのループ(インナー/アウター)承認ゲートがアウターループ。質問への回答生成・成果物作成がインナーループ
14エージェント体制Intent CaptureではProduct Agentが指名された。ステージごとにエンジンが適切なエージェントを選ぶ
各コーディングエージェントへの専用組み込みdist/kiro/ としてKiro CLI用に専用ビルドされた形で配布
/aidlc --doctor で確認したステージグラフ33ステージの実行順序を定義したグラフ。エンジンがこれを読み、次のステージを決定する
ワークフロー全体を通して、LLMは「次に何をすべきか」を一切判断していません。エンジンに問い合わせ、返ってきた1つの指示を実行し、結果を報告する。このサイクルが繰り返されることで、ワークフローが確実に前に進んでいきます。

8. まとめ

この記事では、V2をKiro CLIで動かすまでの手順を追いました。
  • bunとKiro CLIをインストールし、リポジトリからプロジェクトにコピーする
  • /aidlc --doctor でセットアップを検証する
  • /aidlc <description> でワークフローを開始し、最初のステージ(Intent Capture)を体験する
  • 承認ゲートで人間が判断し、ワークフローを前に進める
前回記事で「全サイクルで人間が検証するモデルから、AIとツールが自己検証し、人間は判断に集中するモデルへの転換」という話をしました。Quick Startの段階ではまだ1ステージしか回していませんが、エンジンが制御し、人間が判断するという構造はすでに動いています。

参考資料

Series: AI-DLC Workflow V2の解説 (31 articles)

  1. 2
    AI-DLC Workflow V2を動かしてみる:Kiro CLIで始めるQuick Start This article
Any opinions in this article are those of the individual author and may not reflect the opinions of AWS.
Enjoyed reading this content? Let the author know!

Your likes, comments, shares, and saves help creators reach more builders.

Loading recommendations

Loading article